シルクといえば、光沢ととろけるような肌触りを思い浮かべる方も多いのでは?シルクはその特性から、お肌に優しい素材として、そして高級感のある素材として支持されています。
ここでは、シルクの特徴を魅力と欠点に分けて説明します。
シルクの魅力
上品で美しい光沢、とろけるような肌触り
シルクの繊維の断面は三角形をしており、光をプリズムのように乱反射し、美しい光沢を醸し出します。また、非常に細い繊維が、優雅なドレープ性と滑らかさを生みだし、身にまとう私たちを豊かな気持ちにさせてくれます。
肌にやさしい
最も肌に近い素材である
繭糸は人間の肌とほとんど同じタンパク質でできており、人間の肌との相性が良く、人間の皮膚に必要不可欠なアミノ酸が18種類も含まれていることから、手術の時の縫い糸や、人工血管、医療製品、また食品などにも利用される貴重な原料です。
シルク(絹)は、フィブロイン(70%~80%)とそれを取り囲むセリシン(20%~30%)の二つのタンパク質で構成されています。セリシンは生地になるとき精錬されて落とされてしまいますが、フィブロインはグリシン、アラニン、セリン、チロシン等のアミノ酸を多く含んでいます。
これらには美肌効果がある成分も含まれていて、化粧品の材料としても使われています。シルクを縫製している人たちの手は、ハンドクリームをつけなくてもすべすべと綺麗なのもうなずけます。
さらに、シルクはデリケートな素材なので摩擦によってフィブリルと呼ばれる微細繊維が毛羽立ち、優しく肌をなで不要な角質や毛穴の汚れを落としてお肌を磨いてくれます。
天然のUVカット効果
シルクは、シミ・ソバカス・しわの原因となる紫外線を自ら吸収して、肌への到達を90%以上カットするといわれています。黒いものほど紫外線カット率は高く、白いものは低いです。シルクの衣類が日光に当たると変色しやすいのは、紫外線を吸収するからです。
静電気がおきにくい
シルクの繊維には、ほどよく水分が含まれているため、電気抵抗が小さく静電気がおきにくいのが特徴です。
そのため、アレルギーの原因となるホコリを寄せ付けにくく、抗菌性にも優れているといわれています。
著しく乾燥している場合は、シルクも静電気がおきることはありますが、化学繊維製品のような強い静電気は発生しにくいので、扱いやすく肌への刺激も少なくてすみます。
シルクは夏涼しく、冬はあたたか
絹の繊維にはミクロ単位の穴がたくさん空いており、1/3が空気層。この穴が、まるで除湿機のように肌の汗を素速く吸いとって乾燥させます。シルク(絹)は、吸水性だけとっても綿の1.3~1.5倍はあるとされ、放湿速度も速いため、衣服中に余分な湿度が残らず着心地がいいのです。
また、寒い時期には空気層が体を包み、保温性を発揮してくれます。そのためシルクは、暑いときには涼しく、寒いときにはあったかいという快適繊維なのです。
燃えにくく安心
化学繊維は200度前後で燃焼して有毒ガスが発生し、肌に付着し大やけどにあう場合があります。これに対して、シルクは300~400度になるまで燃えず、有毒ガスが発生しません。また、溶融しないので、肌から簡単にはがすことができる、安全度の高い繊維です。
シルクは地球にやさしい繊維
シルク由来製品には石油製品と違い生分解性があり、最終的に土へとかえすことが出来ます。地球環境に優しい繊維でもあるのです。
シルクの欠点
黄変する
シルクが紫外線の90%以上をカットして肌を守ってくれるのは、それだけ多くの紫外線を吸収しているからです。時間が経つにつれ、紫外線や酸化の影響で黄変してしまいますので、お手入れの工夫も必要です。
黄変を遅らせるためには、以下の工夫が効果的です。
- 洗濯には中性洗剤を使い手洗いする
- 直接布地に当てないように気をつけて防虫剤を使用する
- 2種類以上の防虫剤を使わない
- 日光や蛍光灯の当たらない場所へ保管する
摩擦に弱い
シルクは、一本一本の繊維が細いため、繰り返して着用し摩擦を受けるうちに、擦れて繊維の束がバラバラになっていきます。
このため、毛羽立ちが起こったり、褪色したり、薄くなったりします。なるべく摩擦や連続の使用を避け、休ませながら着用されると長持ちします。
色落ちしやすい
種類にもよりますが、シルクは、美しい発色性がある一方で染色堅牢度(染色の丈夫さ)が弱い場合があります。化学繊維に比べて、色落ちしやすい傾向がありますので、日光や摩擦、洗濯などによる色落ちに注意が必要です。
特に、赤と黒は要注意です。
特有のにおいがする場合がある
正絹以外のシルク製品は、シルク特有のにおいが気になる場合があります。
品質がいつも一定ではない
シルクは人工的に作られた合繊などとは違って、天然の産物の為に、 とれる時期によって多少の違いが出てしまいます。果物が時期によって、おいしかったり、少しすっぱかったりするのと同じで、 蚕も繭も、いつも一定ではありません。
そのため、生地になった時に風合い等が微妙に変わってきます。 また、色についても、染色のたびに微妙に違いが出てしまいますこと、ご了承お願い申し上げます。